Diary
第一話:はじめまして、田中です。【田中のにんまり日常茶飯事】
はじめまして、田中です。151画の価値観に魅せられて仲良くさせていただいていたところ、この度特集として寄稿することとなりました。自己紹介がわりの第一話は、前職でのモットーについてお話しします。
12年間、テーマパークにいらしたお客さまと直に接する仕事をしてきました。6年生の私が卒業アルバムに書いた、長年の憧れ。楽しかった、心から楽しかった。(このご時世でも、小学生なりたい職業ランキング30位くらいに入ってくれたら嬉しい)
「最後かもしれない」
これがズバリ、私の大切にしてきたモットーです。テレビ番組や自己啓発本などを参考にしたのか、尊敬する上司や先輩の言葉なのか、はたまた自分の身近に起きた出来事から考えるようになったのか…定かではありませんが、おそらく幾つものきっかけから、これを毎日の指針にしたのだと思います。お客さまにとって、ここで過ごせる最後の日になるかもしれない。私自身も、ここで過ごせる最後の日になるかもしれない。だとしたら?悔いのない仕事って?
ただにっこり微笑むだけでなく、相手を笑顔にさせる笑顔がいいかな。写真の背景にちらりとうつりこんだとしても常に絵になるような立ち居振る舞いを心がけてみよう。10秒の道案内でも、10秒に込められる最高を追求するなら、何ができるだろう。せっかく写真を撮るなら、将来見返して思い出話に繋がる切り取り方ができたら。…対お客様にとどまらず、次から次へとタスクが生まれる、モットーです。毎朝毎朝、行きの電車でグッと自分に約束し、わくわくしながらタスクを課して。それでも毎日反省や後悔は積もるわけで、毎晩帰りの電車や立ち寄るカフェで、しょんぼりしながら、ときには眉間にシワを寄せながら、また朝と同じモットーで自分へ忠告をしたものです。実際に殆どの出会いが、たった一度きり。再会の少ない場所ゆえ、よりリアリティをもって、落とし込めたのでしょう。とはいえ掲げた目標をスイスイと達成などできるはずもなく、だからこそ、長年同じモットーを大切にしてきたのかもしれません。突然ですが、質問です。
Q.四字熟語【一期一会】の意味を答えよ。
…いかがでしょう、的確に答えられますか?茶道の心得に由来していることはご存知でしょうか。私はといえば…ああ、確かにそんなこと小学校で習ったかも、程度。あらためて調べてみるまで、頭の片隅で記憶がホコリをかぶっていました。お恥ずかしい。茶道では、季節や集まる人・テーマにより生けられる花・掛け軸・使う道具が変わることもあり、まったく同じ茶会にはならないからこそ、お互いに誠意をもち心を込めて臨みましょう、と考えるのだそうです。ここから生まれた言葉で、広くは茶会に限らず「何度も顔を合わせる間柄だとしても、あなたと過ごしているこの時間は一度きりで、二度と巡ってこないからこそ、最後と思って今を大切に、最善を尽くしましょう」そんな心構えを意味するようになったのですね。私事ですが、昨年ひと月ほど絶対安静を要する病気を患い、お世話になった担当医からは、その病気で患者を複数亡くしたと言われました。「最後かもしれない」毎日唱えたはずなのに、いざとなると、考えの浅さに恥ずかしくもなったものです。また明日からも度々会えるかもしれないけれど、今日が最後と思って忘れてはならないこと。疎かにしていた、と気付かせてもらいました。すべてにおいて、後悔のない行いを!そんな、さらさらクリアのできない目標をたてるのではなく、いつでも伝えられると思っていた「ありがとう」を、今、伝えることから始めたい。そんな気持ちです。意外と難しいですよね、同感です。ちょっと一緒に、ありがとう、意識してみませんか?以上、自己紹介にかえて。これから、よろしくお願いいたします。
【写真・文章】田中 弘美
田中 弘美
151画とは面白いつながりがありこの度特集を持つことに。生まれも育ちも東京都ですが都会の喧騒はあまり得意ではなく、緑の中での深呼吸やのどかな街の散歩、飼い猫をのんびり撫でるひとときが癒しです。