Diary

OUR STORY

はじめまして。株式会社151画 代表の江守と申します。

私たちの会社は、もともとは「スマイルポッド」という名前で、「151画 ICHIGOICHIE」は、いくつかある事業のひとつでした。

スマイルポッド株式会社から、株式会社151画になるまでには、さまざまな出来事がありました。――これまでの物語を通じて、私たちが考えてきたこと、目指していることをお伝えします。


2012年 「誕生前夜」

 

「なにかこう、大きなチャレンジをしてみたいな」

私は昔から、こんなことをぼんやり考えている人間でした。たとえば大学生時代には、バイトで貯めたお金でインドに行って、ストールなどの布ものをバイイング。それを日本に持ち帰り、ECサイトで販売するという、ちょっとしたビジネスをやっていました。

その仕事はけっこう楽しかったです。でも、ずっと続けていくイメージは持てませんでした。「布」つながりで繊維業界への就職も考えましたが、最終的には知り合いのつてをあたり、撮影業界へ飛び込みました。

撮影業界を選んだ理由。それは、「お客様が目の前にいること」に、おもしろみを感じたからです。

ECサイトを運営している時、お客様との「距離」を感じていました。一方、撮影は、基本的には対面で行います。私はそこにやりがいを見出したのです。

今になって考えると単純な動機かもしれません。しかし、動機がシンプルな分、私は撮影という仕事に、すぐに夢中になりました。

*新人時代に使用していた手帳です。撮影時の気付きや先輩からの助言などを書き込んでいます。

私はその会社を1年で「卒業」し、独立することになりました。1年というと短く感じられるかもしれませんが、様々な人々との出会いがあり……。いや、あれはなんとも濃厚な時間でした(会社を離れて長い時が経ちましたが、上司や先輩たちの多くとは、現在でもお付き合いがあります)


2013~2014年 「スマイルポッド誕生」

 

独立後、実家の一室を間借りして、スマイルポッドを設立。「よし、やるぞ!」と意気込みましたが、スタッフを雇う余裕はなく、一人で撮影や営業、経理などをこなしていました。

当時、コネクションなんてものは、ほとんどなかったです。そこで、母校を訪問するなどし、こつこつと取引先を増やしていきました。

その日々は、決して楽しくはありませんでした。しかし、得たものはとても多く、私の原動力のひとつとなっています。

地道な営業活動が実を結び、幼稚園や保育園、小学校などから仕事を任せていただけるように。このタイミングで、中学時代の同級生の遠藤さんが仲間に加わりました。遠藤さんは、誰とでもすぐに仲良くなれるような、不思議な魅力を持っている人間です。そんな彼は、撮影だけではなく、営業としても能力を発揮し、事業の幅を広げるきっかけとなりました遠藤さんは現在も、教育機関の撮影部門の責任者として、活躍してくれています)。スマイルポッドを立ち上げる際、友人たちが協力してくれました。ロゴはHisa Kizu、webサイトやパンフレットはYamada HirohitoとRyoが手掛けたものです。

この時代を振り返ると、技術も知識も不十分でした。しかし、「目の前のお客様を喜ばせたい」という思いで、足りないものをカバーしていました。「お客様に満足していただくため、常に最善を考えながら行動する」。この考えは、今も変わっていません。


2015~2016年 「法人化」

 

教育機関を中心に取引先が増え、事業がある程度軌道に乗ってきました。そこで私たちは、さらに事業を拡張するために、スマイルポッドの法人化を決断。

――会社になったことで、自分の意識が大きく変わったことを、今でもよく覚えています。なんというか、法人になったことで、スマイルポッドに「人格」が宿った気がしたのです。

組織が小さいうちは、自分の意思でコントロールできます。しかし、会社になった瞬間に、自らの手を離れ、「別の存在」になった気がしました。

この頃から「スマイルポッドをどういう存在にしていくか?」と、深く考えるようになりました。この時に思い出したのは「目の前のお客様を喜ばせたい」という指針です。

教育現場での撮影はとてもやりがいがありました。しかし、一度に関わる人が多く、一人ひとりと交流できる時間は、どうしても短くなります。

そこで、お客様ともっと向き合うために、「ファミリーフォト」という個人向けの出張撮影サービスをはじめました。当時、このようなサービスはかなり珍しく、まさに黎明期という状況でした。なんといっても新しい取り組みでしたので、手探りで進むしかありません。そこで私たちは、他の会社よりも撮影前後のコミュニケーションを重視し、アフターフォローもできるだけ手厚くしました。

今になって思えば、差別化を図りたかったわけではなく、自分たちがそうしたかったという感覚でした。また、七五三などの特別な行事だけではなく、何気ない日常に着目したことも、独自性につながったように感じます。


2017年 「日常の再認識」

 

ファミリーフォトは順調に成長し、一定の手応えを感じていました。しかし、それと同時に、ある悩みが生まれました。依頼が増えるにつれ、悪い意味でサービスがシステム化されてしまい、「本質」を見失いかけてしまったのです。

私たちは自らにこう問いかけました。「ファミリーフォトの目的ってなんだっけ?」、と。それから、ファミリーフォトをより本質的なサービスにするために、いろいろと模索を続けました。

この時期、スマイルポッドに、木島さんが加わりました。テーマパークで働いていた木島さんは、実にホスピタリティに富んだ人です。彼女のお客様への対応などから、多くのものごとを学びました。

私たちは、木島さんの姿勢に、ファミリーフォトを見直すヒントがあると感じました。そこで、スマイルポッドのメンバーに、外部のクリエーターを交え、サービスを再構築するアイデアを出し合いました。ファミリーフォトを見直す上で、私たちは、いくつかのキーワードを設定しました。特に重視したのは「日常の再認識」という言葉です。

撮影を通じて、お客様に、日常の価値を再認識していただく。これを実現できれば、ファミリーフォトは、より魅力的で、より本質的な体験になると考えたのです。


2018年 「ファミリーフォトから151画へ」

 

この年、ファミリーフォトを再構築し、「151画」としてリスタート。この後、151画は多角的に展開していきますが、この時点ではシンプルな出張撮影サービスでした。

長い時間を掛けてサービスを練り直しましたが、思うような結果には繋がりませんでした。撮影の依頼数は伸び悩み……。151画だけでは、事業として成り立たない状態でした。

ですが、151画を体験してくださったお客様からは、高い評価をいただき、一定の手応えを感じました。その感覚を信じ、さらにサービスをブラッシュアップしていきました。


2019年 「ほかにできることはないだろうか?」

 

努力のかいあって、151画を利用してくださるお客様が増えてきました。しかし、その頃の私たちは、閉塞感を抱いていました。

「もっと、ほかにできることはないだろうか?」。そう考えた私たちは、基本的なコンセプトはそのままに、151画を再度見直すことにしたのです。

「出張撮影だけではなく、イベントを企画したり、プロダクトを開発したり……。151画には、もっと可能性があるかもしれない」

話し合いを重ねるうちに、私たちはこういう結論に至りました。撮影を軸にしつつ、いろいろな方法で「日常の再認識」のきっかけをつくっていく。それこそが、151画が進むべき方向であり、「私たちだからできること」だと考えたのです。

2019年は、151画にとって、そして私たちにとって、とても意味のある1年となりました。たとえば職場で働いている様子を撮影する「151画 BUSINESS」を立ち上げるなどし、事業を多角化。また、「日常の再認識」をテーマにした企画やイベントを開催するなど、151画らしさを大事にしつつ、様々なことにトライしました。


2020年 「小さな、それでいて、大きな一歩」

 

この年は、私たちにとって、最も厳しい一年となりました。主な原因はコロナウイルス感染症の拡大です。緊急事態宣言の影響などもあって、撮影の依頼数は激減。1ヶ月で一度も依頼がないこともあり、「このままでは会社が立ち行かなくなるのではないか?」と、強い不安に苛まれました。

ただ、悪いことばかりではありませんでした。経験したことのない状況に立ち向かうなかで、「私たちにはなにができるか」「私たちはなにをするべきか」というふうに、自分たちのあり方を見つめ直せたからです。

具体的には、出張撮影だけではなく、それ以外の手段を通して、「日常の再認識」のきっかけをつくっていくべきだと、より強く考えるようになりました。それは私たちにとって、小さな、それでいて、大きな一歩でした。

「出張撮影以外の手段」として、企画やイベントを立ち上げつつ、本格的にプロダクト開発に着手しました。さて、一口に「プロダクト」といっても、その種類は様々です。数ある選択肢の中から、151画らしいものとして、まずは写真を収納できるアイテムづくりに取り掛かりました。

とはいえ、この段階では、私たちはものづくりのプロではありませんでした。当然ながら、商品開発には多くの障壁がありました。とりわけ大変だったのはフォトアルバムです。紙の厚みや素材、製法、商品仕様……。考えることは山のようにありました。*以前の私は、ネットの「向こう側」にいるお客様を、うまく想像できませんでした。しかしこの頃には、かつては感じられなかったその姿を、しっかりとイメージできるようになっていました。

苦心の末、フォトアルバムをはじめ、いくつかのプロダクトを無事にリリース。単純に売上数だけで考えると、苦労に見合っていないかもしれません。しかし、手に取ってくださったお客様からの評判は上々で、それは大きな励みとなりました。おかげで、そこで諦めることはなく、プロダクト開発を継続することができました。


2021年 「スマイルポッド株式会社から、株式会社151画へ」

 

この年、作家やデザイナーとのコラボシリーズ「こもれ-日」をリリース(ちなみに「こもれ-日」は、151画から枝分かれするような形で生まれたシリーズです)。また、プロのフォトグラファー向けの講習コンテンツを公開するなど、事業の多角化を推進しました。 

私たちは151画という「存在」に、たしかな手応えを感じていました。それと同時に、「151画とはいったい、なんなんだろう?」と、疑問を抱きはじめました。

151画は、年を追うごとに成長していき、もはや一言では言い表せない存在になっていたのです。そこで私たちは、会社の事業構造を一から見直すことにしました。

その結果、「151画と、その母体であるスマイルポッドを統合する」という行動を選択しました。こうして、シンプルな出張撮影サービスだった151画は、株式会社151画へとアップデートされたのです。

社名変更の理由は数多くあります。そのひとつに、スマイルポッドと、151画との関係性が、曖昧になっていたことが挙げられます。本来であれば、前者がメインで、後者はそれに付随するものです。しかし、徐々に151画の存在感が増していき、いつしか「主役」へと変わっていきました。

151画が生まれたとき、こんなにできることが増えるとは、想像もしませんでした。おそらく151画は、コンセプトがシンプルだから、それが可能なのでしょう。私たちはそんな151画に未来を感じ、社名に据えることにしたのです。

 

*事業を整理し、社名を変更したことで、多くの発見がありました。たとえばこれまで私たちは、「教育機関での撮影」と「ファミリーフォト」では、お客様に提供できる価値は異なると考えていました。しかし今回、自分たちの活動を振り返ることで、「どちらも本質的には同じ価値を提供できている」ということに気づけたのです。

社名を変更するプロセスのなかで、「どういう会社にしていくか」ということについて、深く考え直しました。それは、「自分たちはなにをしていくべきか」と言い換えられます。

「自分たちはなにをしていくべきか」

そのメッセージを、151画に関わってくださる方に伝えるために、そして、私たちが迷わず進んでいくために、PURPOSE(社会的存在意義)を定義することにしました。

「目の前のお客様を喜ばせたい」という、一番最初に抱いた思い。「日常の再認識」という大きなテーマ。そして、新しく生まれたPURPOSE。そのすべてを大切にしながら、私たちはこれからも進んでいきます。

時には遠回りをしながらも、まっすぐ前へと。