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【対談】TRICHROMATIC COFFEE 店長:コーヒーが豊かにしてくれた日常

中野新橋にある、ちょっと贅沢なコーヒースタンド「TRICHROMATIC COFFEE」を運営されている石原剛さん。決して大きくない町にある、こじんまりとしたコーヒースタンドですが、日常的にたくさんの常連さんが行き交い、町に溶け込んでいる距離感が心地の良いカフェです。今回はそんな彼のコーヒーと日常の関連性、また、コーヒーがある生活などの151画視点から対談という形で触れてきました。美味しいコーヒーと温かみのある店舗、なにより石原さんのゆったりとしたお人柄が中心にあるお店です。
TRICHROMATIC COFFEE 石原剛【はじまりの気持ち】
木島: なぜコーヒースタンドを始めようと思ったのですか?
石原さん: 両親が自宅でよくコーヒーを淹れてくれていて、そこでコーヒーと出会いました。そのため、コーヒーは身近な存在でありカフェ巡りなども、もともと趣味の一つでした。自分で豆を買って焙煎したり。
木島:そうすると、趣味が高じてカフェを始めたのでしょうか?
石原さん:それもそうなのですが、もともと自分の店や自分で挑戦できることを一から始めたいという思いがありまして、そこにコーヒーがぴったりくっついてきたというイメージです。石原さんと木島の対談の様子

木島:それは素敵ですね。やりたいことが繋がっていく感覚ですね。ちなみに中野新橋にお店を出された理由はありますか?
石原さん:とくに馴染みのある地域ではなかったのですが、カフェを始めると決めてからコンセプトを考えていると、ただのコーヒースタンドではなく、地域に根付き、生活の拠点となる、人が集まるスポットを作りたい。という思いが強くなってきまして。その視点で探していた時に、多様な人がいるけどしっかりと足をついて暮らしているこの町にしたいなと感じるようになりました。
木島:多様な人がいて、それぞれの人のルーティーンが組み合わさっていって、この地域にカフェが出来上がったのですね。

【コーヒーがある生活】
木島:コーヒーのどのようなところがお好きですか?
石原さん:談笑しながら、仕事をしながら、勉強しながら、日常の色々なシーンで役に立つ万能なところ。そしてそれはとても気軽で、水でもお酒にも代えられない唯一無二の飲み物だと思います。
木島:コーヒーならではの気軽さというものは存在しますよね。ちなみに、そんなコーヒーと日常との関わりをどのように考えていますか? 私たちも日常の再認識ということをテーマにしているので、よくよく考えるテーマです。石原さんと木島の対談の様子

石原さん:コーヒーは生きる上で必要不可欠な存在ではないからこそ、あるのとないとでは生活の質が変わると思います。コーヒーがある空間、時間というのはどこか贅沢な気がします。
木島:生活に彩りをあたえてくれるものですね。 私たちも大切にしたい感覚です。
石原さん:151画さんも必要不可欠なものではないですが、あることで確実に豊かさをもたらすものですよね。
木島:素敵なご意見!笑 ありがとうございます。 ちなみに、石原さん自身は1日の中でどのような時にコーヒーを飲みますか?

石原さん:それが、最近は仕事上の試飲以外はあまり口にしません。
木島:え! それはとても面白い感覚ですね。
石原さん:やっぱり仕事して飲むほうが多いから、純粋にリラックスするためにコーヒーを飲むって事はなくなってしまいましたね。毎日100杯200杯いれてるかなぁ。休日は入れないことでオンオフつけてるのかも。仕事として始めちゃったからには仕方ない。笑 もちろん辛いことではないです!
木島:なるほど! 精神的に切り替えるスイッチを用意している感覚ですね。ちなみに、物理的に仕事している時間とプライベートの時間は分けていますか?
石原さん: もうほぼプライベートはないんじゃないかなぁ。笑 半分プライベートだったり半分仕事だったり。本当分けてないです。くっついてる。楽しくて過ごしている部分もあるし、お誘いは断らないっていうスタンスも大事にしている。義務的になる事もあるけど(笑)感謝の気持ちが圧倒的に大きいです。
木島: こちらに来る常連さんは特に、日常の中に石原さんという存在がある、加わっていってるって事だと思うのですが、そのような関係性になった時に石原さんご自身の日常に変化はありましたか?
石原さん:仕事とプライベートがここまで密接するとは思っていなかったです。ここまで毎日同じ人と顔合わせてこんなにお客さんと近い距離で接して、それは本当に楽しくて幸せなことです。この地域でこの小さなスタンドを始めていなければこういう形になっていなかったと思います。

【TRICHROMATIC COFFEEが繋げる関係性】
TRICHROMATIC COFFEE 石原剛木島:現在1年半開店されてから経過していると思うのですが、実際にどのような方が行き交っているのでしょうか?
石原さん:中野新橋近辺の住民の老若男女の方が9割で、しかもありがいことに、ほとんどの方がリピーターとしてお越しいただいています。毎日同じ人が朝一番に来てくださり会社に行く、その方がまた夕方来て帰りに来てくださったり。犬連れの方も多いです。お散歩ルートとして寄ってくださるイメージです。

石原さんと江守の対談中の様子

木島:それはまさに開店前に思い描かれていた通り、石原さんのお店が生活の中に溶け込んでいますね。ふらっと立ち寄ってくれる場所じゃなくて、良い意味でルーティーンの一部として生活に組み込まれているというか。
石原さん:一人で来ている95歳のおじいちゃんのお客様もいます。毎朝10時くらいに来て珈琲と朝食をとっていく。その方が特定のコミュニティーに属しているわけではないかもしれないけれど、いつもいらっしゃるから他のお客様から挨拶が交わされたりしています。
木島:たくさんの人が石原さんやカフェを中心として集まって自然とコミュニティを作り上げているのですね。
石原さん:正直ここまでコアになるとは全く思わなくて、自分でも驚いています。自分が想像していたよりも、ここではお客さんも心地よいコミュニティを求めていたんですよね。
木島:誤解を恐れずいうならば、コーヒーそのものよりも、身近な人とコミュニケーションをとれる場所があること。という価値がTRICHROMATIC COFFEEにとって重要に感じられますね。
石原さん:そうなんです! まさに! 笑
そしてそれはしっかりと見つめていく必要があるのかなと感じています。この人はコミュニケーションをとりたいのかそうじゃないのか。ある人はコミュニティーに属してるというふうには言えないかもしれないけど、そんな距離感の関係性の形もあると思います。

【コーヒーと今の自分】

木島: コーヒーがあるおかげで石原さんの日常を豊かにしてくれたと感じるエピソードはありますか?
石原さん:まだ開店して1年半ですがたくさんの人と出会えたこと。一部のお客様は友人でもあり、仕事終わりや休日はよく一緒に出かけたりします。日常を豊かにしてくれていると思います。
木島: 日常が豊か!素敵なキーワードです。 最後に石原さんにとってコーヒーとはなんでしょう?
石原さん:私とお客様、お客様とお客様を心地よく繋げてくれるコミュニケーションツールであると思います。あくまで人があつまるひとつの手段として。それが美味しければなおさら良いっていうだけだと思います。
まとめ
9割の常連のお客様に支えられ、日常的に人が行き交う小さな温かいコーヒースタンド。カメラや写真をコミュニケーションツールとして考える151画と近い感性がありました。「身近な場所にこんな場所があったらいいな」だれもがそんな風に思うTRICHROMATIC COFFEE 。場所やコーヒーだけではなく、石原さんのお人柄の心地よさに大きな魅力を感じることができた対談でした。

【対談】 TRICHROMATIC COFFEE 石原剛さん