Diary
プロから見た「日常の光」を捉えていつもの写真を表現豊かにする方法
私たちが普段から生活の中で自然と見ている光にはそれぞれの特徴あります。印象をはっきりとさせるもの、柔らかく優しく感じる光、朝に見る光、そして夜にうっすらと浮かぶ光。ひとつひとつの光の特徴を知る事は大切な今を写真で切り取る時、表現の幅を広げることの繋がります。光を知るという事は、あなたの想いを写真にのせる事ができることに繋がるでしょう。今回は普段から日常にフォーカスをあてた風景やご家族の撮影を行っているフォトグラファーの視点で「光」についてご紹介させていただきます。
[内容]
01.光の質
02.光の向き
03.光の色
04.日常写真で大切にしている光
05.いつもどおりの環境にある光を大切に活かす
06.生活の中の光
07.日常の写真は明るくて綺麗だけが全てではない
はじめに
光には質が存在し、大きく分けて「硬い光り」と「柔らかい光り」の2種類の光がります。そして光の向きはこちらも大きく分けて「順光」「サイド光」「逆光」があります。また太陽光や自然光、照明などの光自体が発する光の色を「色温度」と呼びます。
01.光の質
「硬い光」
硬い光とは、光が雲やカーテンなどに遮られて拡散してしまうことがなく、直接的に被写体に当たっている光線状態のことを指します。その強い光の特徴は、しっかりとした強い影をつくります。コントラストが高く、メリハリのある印象になります。よく晴れた日に公園など外で撮影する場合、元気なイメージになりやすいです。
「柔らかい光」
柔らかい光とは、部屋のカーテン越しに入ってくる光がわかりやすいでしょう。被写体に光が直接あたっていた硬い光とは異なり何かによって拡散されたやさしい光のことです。柔らかい質感の表現となりあたたかい雰囲気に包まれたような印象になります。
光は被写体との距離によって量が変わります。その距離によって硬さも変わってきます。 照明やフラッシュなど、近くにいた場合と離れていた場合を想像してみるとイメージがつかみやすいでしょう。また、光の硬さは距離が伸びると指向性が失われるため全体に柔らかくなっていきます。
02.光の向き
「順光」
被写体に対して、正面(撮影者側)から当たる光の向きを順光といいます。順光では、被写体に直接光が当たるため、色や形をはっきりと写することができます。風景写真では青空や木々を鮮やかに映し出す際や、表情をはっきりと写すことができます。ただ人物を撮影する際は、陰影がなくフラットになりやすいことと、眩しいため表情が硬くなってしまうことがあります。
「サイド光」
被写体に対し、横方向から当たる光をサイド光といいます。上の写真はとも被写体に対しほぼ右サイドから光があったっています。サイド光は、被写体に影が強くでるためメリハリのある描写になります。お顔に鼻や頰の影がはっきりと写っている様子がわかります。光の質によっては硬い光であればあるほど明暗がはっきりとし、力強い印象になっていきます。
「逆光」
被写体に対し、背後から当たる光が逆光です。逆光では、人物をふんわりとした優しい雰囲気で撮影することができます。外の硬い光の逆光とお部屋の中の柔らかい光の逆光ではまた印象も変わってきますね。硬い光であるほどレンズに向かって強く光が当たるため、被写体が影となり表情などが暗くなりがちですので、露出補正を使って被写体をイメージ通りに写すことができるよう調整を行いましょう。
03.光の色
色温度は光の色を数値で表現する値です。K(ケルビン)という単位を用います。Kが低い光ほど暖色系の色となり、高い光ほど寒色系の色となります。目安ではありますが、朝日や夕日はおよそ2000K、太陽光は 5000~6000K、白熱電球等は約2800K、昼光色の蛍光ランプが約6500Kとなります。色温度は写真全体の雰囲気が変わる大きな要素となります。
03.日常写真で大切にしている光
被写体の日常撮影をする上で私たちは「不自然にならないこと」を大切にしています。例えばご自宅で夜にお子様が寝ている様子を撮影するのにフラッシュを使用して撮影することはお子様のお顔をしっかり写すことはできるかもしれませんが決して自然な状態とは言えませんよね。あくまで、私たちが目で見ている「日常の光景」の延長線上で光をどう意識するべきかを考え大切にしています。
そのシーンの雰囲気や、今が今らしく映る角度を光を見極めて被写体の位置をコントロールし無理に変えるのではなく、撮影者自身が立ち位置を常に変えながらその時その時に合った最適な光を選び、今を切り取っていくのです。
04.いつもどおりの環境にある光を大切に活かす
私たちは基本的に、自然光を用いて撮影を行います。自然光とは電球や蛍光灯、ストロボなどは一切使用していない太陽光や月の自然な光のことを指します。みなさんが普段の生活の中で一番身近な光になるでしょう。それは天候や時間帯によって色や強さも変化していきます。家の中だとしても、窓から入る光の向きで「夕飯の買い物にいく時間だな」なんて思うことはありませんか?その普段見ている光がまさに日常を感じさせるものです。またその時々に合わせ、いつも照明を使っている部屋や環境であればその光を使って撮影をすることもあります。光を見極めてなるべく“日常に近い状態と綺麗に撮影ができる状況”のバランスをみて撮影を行い普段の日常を未来に残すことを意識しています。
05.生活の中の光
〈少し陽が傾いてきた優しい時間〉
〈昼食の準備中、部屋に差し込むいつもの光〉
〈公園を散歩している時の木漏れ日〉
〈窓からの光で焼き鳥を焼くいつもの光景〉
〈お気に入りの場所は日陰でも大切に残す〉
〈いつもの新聞を読む時の様子〉
06.日常の写真は明るくて綺麗だけが全てではない
たとえ、少し部屋の中が暗く感じたとしても普段その状態で窓のからの光を頼りにして本を読んでいるとしたら、それはとても素敵なその人らしい日常だと思いませんか?そして、日常におこる出来事は無意識の行動からできるかけがえのない一瞬の積み重ねです。私たちは光の向きや質を意識しすぎて大切な一瞬を逃してしまうことが無いよう、その一瞬を逃さないように光を捉えながらこの時にできる最善を尽くすことを意識しています。
【写真】江守勇人 木島夕貴
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江守 勇人 / 木島 夕貴
151画フォトグラファー兼ライターの二人組。プロフェッショナルとして写真や日常というキーワードと日々向き合い、様々なことに見つめ直しています。
日常風景の出張撮影 「151画」
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