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還暦のお祝い:出張撮影で両親に贈る、かけがえのない「家族写真」

私たちは以前「還暦のお祝いで両親に家族写真をプレゼントしたい!」という娘さんから撮影のご依頼をお受けいたしました。担当したフォトグラファーの木島はご依頼者の根岸久美さんとプライベートでも親交を重ねてきました。気がつけば  “ねぎちゃん”   “夕貴ちゃん”  と呼び合うほど仲に。フォトグラファーの木島がそんな彼女に当時の気持ちをインタビューいたしました。お子様が還暦のお祝いに家族写真をお贈りするという行動は、私たちが想像していた以上の価値を感じることができました。お祝いに写真撮影をプレゼントしたいとお考えの方はぜひ久美さんの言葉を参考にしてみてください。



 

木島:ご両親の還暦のお祝いを選ぶ時にどんなことを考えていたの?

久美さん:これまでも両親には何かの記念の時にプレゼントをあげたこともありましたがいつの日には箪笥の肥やしになってるのを目撃したりしてだから、いつまでも色褪せないモノがいい! ありきたりの物でお祝いするのも面白くない、ただ、プレゼントして終わりじゃなくて、もっとそれ以上のモノであることにしたいと考えていました。例えば、家族全員で参加して作り上げるなど家族全員にとっても思い出になるもの を基準に考えていました。

 

 

木島:きっと久美さんは沢山の候補を考えていたと思うけれど、撮影をプレゼントしようと思った決め手を教えて欲しいです!

久美さん:家族で写真を撮るって、年々少なくなるでしょ?  改めて考えてみれば、子供の頃は家族写真が身近な存在だったと思います。 だけど、私たちが大きくなるにつれ減る家族の写真その時は気づかなかったけれど、これってすごくもったいないことだと思うんです。たった一枚写真があるだけで、瞬間的に五感でその思い出に触れられる。 記録も残さず過ぎ去ってしまった時間。一体この間、自分たちがどんな表情をして、どんなことをしていたか、ぼんやりとは覚えているけど、写真を見るよう鮮明には思い出すことは出来ません。 本当にとても残念だと思ったの。今までは両親がしてくれていたけれど、今度は自分たちがする番だ!と思ったことが撮影をプレゼントするに至った決定的なポイントだったように思います。

 


 

木島:お祝いに撮影することを伝えした時、ご両親からはどんな反応がありましたか?

久美さん:一番初めに相談()したときはえーーーーーー!!!恥ずかしい!!! それに知らない人がうちに来て撮影するなんて嫌よーーーー!!!って拒否られてしまいました() だけど、もともと母も『ちょと変わったこと』『面白いこと』が好きな人だったので、数日考えたら一生に一度の還暦だし、なかなか出来ない経験だし、それも面白いかもって思ったみたいで、やってみようか!ってなりました。 父は皆に合わせてくれる人なので特に反対もなかったです。 ただ、少なからず緊張はしていたと思います。

 

 

木島:素敵な考えですね!ねぎちゃん自身が一緒に写真に写り思い出に残ることを選んだ理由はありますか?

久美さん:家族の姿を残したい!というのが強かった。 母の還暦をきっかけに、改めて『根岸家』っていう家族の姿この家で皆で過ごしてきた時間そういった目に見えないもの、瞬間を残したいと思った。 そのために、自分の姿も残しておきたかったのです。

木島:出来上がった家族写真はどの様にプレゼントしたのでしょうか?

久美さん:写真は少しでも早く皆に見せてあげたかったから、実家に直接届くようにしました。撮影そのものがプレゼントだったので、渡す際は特に演出はしなかったんです!

 


 

木島:撮影そのものがプレゼンという捉え方がとても素敵だと思いました!そんな撮影当日は振り返るとどの様な1日だった?

久美さん:まさかあんなに楽しい一日になるとは思ってもみなかった() 忘れられない特別な一日になりました。 私たちは『母の還暦祝い』、自宅で家族全員そろってお昼ご飯を食べ、そしてケーキを食べてお祝いする風景を撮影してもらう内容でお願いしていました。 初めてのことですし、とても緊張しました。 けれど、そんな緊張もカメラマンとしてはるばる来てくれた夕貴ちゃんに出会ったらどこかへすっ飛んでしまいました。

木島:とっても嬉しい!

 


 

久美さん:夕貴ちゃんは本当に気さくで、 母は初対面じゃないみたい!と連発してたよね。常に私たちと雑談しながら、ふわりと撮影を進めていく夕貴ちゃん。 撮られているっていう緊張感はなかったです。 私がご飯の準備をし、母が手伝ってくれて、父は新聞を読みながら待っている。ご飯が出来れば弟が合流し、皆で食卓を囲む。 いつも通り食べ、いつも通り皆で片づけをし、コーヒーを淹れて、皆でホールのケーキを突っついて食べる(我が家の伝統。笑) 本当に、本当に、家族皆がいつも通りの時間を過ごせました。 いつも通りの、飾らない、普通の表情をたくさん捉えてくれました。

 



 

木島:撮影している時も、久美さん自身が言うように、自然体だと感じる瞬間が沢山りましたね。

久美さん:夕貴ちゃんは家族の写真だけでなく、家族にまつわる思い出の品たちも一つ一つ写真に収めてくれました。その物をみる目が私達家族と同じ温度で見てくれているように感じました。それがとても嬉しかったです。 あっという間の撮影で、お見送りの時はまたおいで!って。 とても思い出に残る素敵な時間をつくってくれました。

 

 

木島:出来上がった写真を届けたあと、ご両親からどの様な言葉をもらいましたか?

久美さん:とても喜んでくれたみたいで、届いてすぐ全頁の写メと共に 『ステキな写真だよ! とっても、とっても すてきな宝物ができました!ありがとう!』とLINEで連絡がありました。 あまりに綺麗に撮影してもらったので、我が家じゃないみたいねぇ~なんて照れくさそうでした()

木島:私まで嬉しい気持ち(笑)。初めて日常の出張撮影を行い思ったことをざっくばらんに教えてほしいです。

 

 
ねぎちゃん:出張撮影って非日常的で、馴染みがない感じがするけど、もっと身近なものになってもいいなと思いました。こんなに素敵なものが出来るんですもの!今回の撮影を経て、かけがえのない時間、日々の大切さを再認識させてくれました。 撮影されるって緊張しちゃいそうだけど、出張撮影は自分たちの領域(例えば家)に来てくれてるから、自分達もリラックスしやすいし、カメラマンさんとも友達のような距離感になりやすく、そのおかげで緊張もほどけやすかったと思います。そして『撮ってもらう』ことで全員が主役になれる。これも大きな魅力だと思います。
 

 

木島:撮影をプレゼントしたことでご家族との関わりに変化はありましたか?

久美さん:自分のルーツである家族を再認識した為か、私自身は家族と関わることが多くなったように感じます。より家族との関わりを大切にするようになったかな。 あと、何でもないことでも写真を撮るようになりました。 帰省した時に、皆で食べた夕食の食卓とか、皆で3時のおやつを食べながらテレビを見ている風景とか、父と母が農協で野菜を選んでるところとかそしてそれらをLINEのノートに送って共有するようになりました。

 

木島:家族全員がノートを使って家族の写真を日々振り返ることができるのはとても素敵ですね!出張撮影後に日常の写真を見た時にどんな感情を抱きましたか?

久美さん:いつも通りの家族の表情や風景が写っていてとても嬉しかったです。 自分自身に関しては、こんな表情してるんだ~と、新鮮でした()

 


 

木島:ねぎちゃんにとって、日常や日々をどの様に捉えている?

久美さん:忘れていしまいそうなほど当たり前で、気にしてなかったら、あっという間に過ぎ去ってしまうものでしょうか。でもその日常って一瞬一瞬は全て奇跡の連続。当たり前なんて一つもない。

 

木島:プレゼントをする前後で、日々に対する想いや気持ちに変化はあった?

久美さん:以前より日々に対して『かけがえのないモノなんだな』という認識が強くなったように感じます。 家族に関しては、父も母も還暦を迎えて、これからまた少しずつ家族の関わり方が変わっていくだろうし、自分自身の形も変わっていくだろうな、と思うのです。だからこそ、今、この目の前にある時間を大切にしよう!って感じるようになりました。

 

 

まとめ

大切な人へ撮影とその日の写真を贈り物にするということは、撮り手が想像するよりも遥かに多くの喜びに溢れていたことに気がつくことができました。出張撮影はできた写真だけではなく、その日をどのように過ごすかも含めご家族にとって特別な体験にもなります。そして、紛れもなく家族の日常的な姿が写真として手元に届くことはお祝いをする人、そしてお祝いをされる人が一緒に笑顔になれる素晴らしい送りもものなのだと感じました。

 

2018 ~家族と写真~についてのインタビュー風景

 
【写真】江守勇人/木島夕貴
【出演】根岸久美さん
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江守 勇人 / 木島 夕貴

151画フォトグラファー兼ライターの二人組。プロフェッショナルとして写真や日常というキーワードと日々向き合い、様々なことに見つめ直しています。

日常風景の出張撮影 「151画」
“ 何気ない一日が、宝物。” をコンセプトとし、
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